4.導電現象

原子から電子が離れてイオンとなる状態について前項で述べたのですが、導体中の電荷の流れはどうなっているかを少し述べておきます。

原子番号Z、原子量Aの原子核と言うのはZ個の陽子と(A-Z)個の中性子から成り立っています。素電荷をeと表すと原子番号Zの原子はZeの正電荷を持っ原子核と、-eを持っ電子Z個から成り立っています。

電流を良く通す銅で考えて見ましよう。銅の原子番号は29で原子量は 63.54 です。原子量が端数なのは異なった数の中性子からなるからです。電子が原子核の周りを回るには軌道があり、名前が付けられており、そこへ入る電子の数は決まっています。28個の電子は閉じた軌道内にありこの原子の外へ出ることはありません。しかし最外殻の1個は原子間を自由に動ける状態にあります。ですから銅原子は十eの原子核と一eの自由に動ける電子からなるモデルで表すことが出来ます。

空気中電荷の電気力線

そのような状態を表したのが図4-1です。図に示すように導体のモデルに電圧が加えられたとすると、正電荷は動けませんから電流に寄与しませんが、自由電子は正の電圧の方向へ動きます。電流の正の向きは正の電荷が動く方向と定めてありますから、電子の動く方向とは逆向きの電流が流れることになります。液体などで正イオンと負イオンが混在している状態では、正イオンによる電流と負イオンによる電流の和となります。この場合正イオンの動く方向と電流の方向は一致します。


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