1.電気と静電気の違い

静電気も電気の一部ですが、一般の方たちが理解している電気とはかなり様相が異なりますので、その違いについて少し述べてみようと思います。

簡単な電気回路での電位

図1-1は電池と抵抗からなる簡単な電気回路です。電源としての電池の電圧と抵抗の値が与えられれば、この回路の電流が求まります。さらには抵抗の端子間の電圧も求まります。電源電圧\(V_0 \)が12V、抵抗値は図に示された値ならば、抵抗\(R_3 \) の端子電圧は6V、抵抗\(R_2 \) の端子電圧は4V、抵抗\(R_1 \) の端子電圧は2Vと求まります。我々が一般に使っている電圧とは電位差のことですが、電位とは一般にどこか基準点から測ったものです。端子④が接地されている場合ならば、端子③の電位は6V、端子②の電位は10Vと表すことが出来ます。しからば端子③が接地されている場合はどうでしよう。端子③が基準ですから、端子②の電位は4V、端子④はマイナス6Vとなります。

何故こんな面倒なことをするかという理由を少し述べておきます。この様な電気回路で、抵抗端子間の電圧、或いはどこかを接地した状態での電位は、テスターで測ると誰が測っても同じ値が出ます。ですから電圧や電位は電気回路という線上だけでの変化、いうなれば1次元的に変化するものです。

ところが静電気は一般に3次元的な空間の広がりを持った問題を取り扱う関係上、電位に関してのはっきりした基準が必要です。

球と平板の間の電位

図1-2を見てください。接地平面上に置かれた球に電圧\(V_0 \)が加えられているとします。接地面が基準点ですから③の点の電位が0Vと言うのと、①の点の電位が12Vというのはすぐ分かります。しからば①と③の丁度中間点の②の電位は幾らでしようか。距離的に半分の位置であっても電位は6Vではありません。②から水平に横へずれた点④での電位となるとかなり小さなものとなります。この様に静電気では電位はきちんと定義しておかないと意味の無いものとなります。そしてその値はそう簡単には求まらない場合が多いのです。


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